【開催報告】
「主権者ってなんだ!?~社会は自分たちで変えられると思うために~」
2/11「主権者ってなんだ!?~社会は自分たちで変えられると思うために~」開催しました!
これまで3回シリーズでお送りしてきた、「めんどくさいが、おもしろい?!半径5メートルのミンシュシュギ」。
半径5メートルという"ソーシャル"と"パブリック"の間のリアルな距離感にこだわりながら、
ミンシュシュギをこじらせ続ける私たちのモヤモヤから始まったこの連続企画。
スペシャルゲストの岡田憲治先生(オカケンさん)にも3回全てお付き合いいただき、
最終回を迎えることができました。
今回は、"主権者教育"をテーマに、様々な教育現場での取り組みの話をお聞きし、
そこからの対話&学び合いの時間となりました。
◎活動報告一人目:山崎さん
「学級活動を軸に、子どもの自治の感覚を育む」
・主体変容が自分のテーマ。
・教室はちょうど半径5メートル。
・「なぜ小学校でシャーペンを使っちゃいけないんですか?」
→理由を確認し、ルールの中に条件付きで各クラスで決められると追記した。
→きちんとした手順で合意を得ることで、変わる力がある。変える力がある。
・先生が支持してトラブルがないクラスとトラブルがあっても自分たちで解決していけるクラス
→どちらがいい?自分たちで解決していけるのを「自治」と呼ぶ。やってみよう!
・「クラス会議」という仕組み
・議題箱(個人の悩み相談、クラスの問題、クラスの楽しい企画)を入れる
・出し合って比べ合って決定する(できるだけポジティブフィードバックで)
・寝癖が直らない、学校に行く時間を短くしたい、演奏会を企画したい、クラスがうるさい等
<オカケンポイント!>
手順をふまえればできる!ということ。「できる!」というポジティブイメージを育てる。
◎活動報告二人目:古野さん
・18歳選挙権に変わった当時の当事者
・スウェーデンの学校→未来の積極的な市民を育てる
・みんなのルールメイキング(カタリバ)
175校と連携して、校則の見直し
「靴下はなぜ白じゃなきゃダメなのか?」
「筆箱がしていなのはなぜ?」
・「学校の当たり前は変えられる」
・社会に意欲を持てない若者たち
・エリート校と呼ばれる学校で、実際に政治家さんと話す機会をつくる
→政治は生身の人間がやっているものだという感覚を持ち、関心がアップした
<オカケンポイント!>
リアルを求めるということ。そこから自分が有効であると思えるように。
◎活動報告三人目:村上さん
・風越学園の「総合的な学習の時間」
・ドイツで行われている「ミニ・ミュンヘン」をやってみた
・実際にまちをつくっていく
まずは、お金を稼いで、店を開いていく
→いろんな問題が出てくる
銃刀法は必要?警察に給料払った方がいい?
著作権をどうするか?他の学年が入国したい…等
・自分たちのまちをルールを自分たちで決めていくという体験
・子どもたちがルールと自由の問題に気が付き、憲法を学びたいという声も
・いろんな立場からまちづくりに関われるという気付き
・遊ぶように学び、学ぶように遊びたい
<オカケンポイント!>
"まち"は素材にあふれている。そして、枠の中でもやれるじゃん!ということ。
◎活動報告四人目:前田さん
・「夢見る小学校」映画の上映会をやってみた
・まずは校長先生をイベントに連れて行った
→校長先生「ぜひ上映会やりましょう!(先生たち向けのイメージ)」
→前田さん「ぜひ上映会やりましょう!(地域や保護者も巻き込んで)」
・PTAや青少対を巻き込んで、200人規模の上映会に
・あちこちから「やっていいの?大丈夫なの?」という問い合わせ
・みんなの思いが集まったから実施できた
・実施後、大きな変化はないが小さな変化はある
「子どもを中心に」「自由って何だろう?」「宿題って必要?」
「(特別支援の子)服薬やめてみる?」等の会話が少しずつ生まれている
・子どもたちが地域で発表する/地域の人に教えてもらう機会をつくっている
→そういった「アポを取る」とかをがんばっている
<オカケンポイント!>
教員だけどプロデューサー!リアルな素材で地域に出るということの意味。
●対話&全体共有
4人のお話をお伺いし、テーブルに分かれての対話の後、全体での共有となりました。
・学校を変えたくても「子どもが人質に取られている」と思って意見が言えない保護者もいる
・地域から学校の在り方を提案していくことはできるのか?
・大人がどれだけポジティブなイメージを持てるのか、が大事なのでは
・学校でのとりくみで、子どもの動きはどこまで予想されているのか?どう対応している?
→教師の在り方の問題でもあるが、ある程度は予想しつつ予想外のことも多い。
毎日ふりかえりをしているが、それは私立だからできている部分も大きい
・学校がやらないといけないことは何なのか?余計な仕事が多すぎる?
・テストの丸つけや成績のつけ方も変えていける
・教員の自由度と子どもの自由度に相関関係がありそう
・ポジティブフィードバックばかりじゃなく、問い直して落とし込んでいくことも必要では
「シャーペンでを分解して遊んじゃうからダメ」→分解しちゃダメなのか?なぜ分解するのか?
・いいね!する、しなきゃいけないルールは必要?
・教室の半径5メートルの世界と、社会の半径5メートルの世界はまた全然違う
・子ども商店街を学校でやる必要は?地域で遊びとしてやるのでもいいはず
学校でやることで、学びにつなげないと!という働きかけにならないのか?
・遊びと学びはつなげないといけないの?
→学校側も揺れながら迷いながら進めている、正解はわからない
・結局こういう学校に行けるのは、超ラッキーな家庭か、裕福な家庭か。
全ての公立学校でできるにはどうしていけばいいんだろう?
▼シェアラン名誉顧問西郷さんから
主権者教育なんて考えたことない。
主権者教育をやらないといけないような学校はダメ。
学校自身が、子どもたちが主権者として運営されていればいいだけのこと。
どうすればいいのか?
これは主権者の声を聞いてみよう。
小学生の参加者の方
「ここにいるみんなは、主権者が何か、なんとなくわかってるぽいけど、
私は全くわからなくて、結局何なんだろう?って思う」
▼最後に、今回のイベントのスペシャルゲストであるオカケンさんから
ほとんどの合意形成は失敗する。
この失敗が、正誤の問題へ回収されやすい磁場が学校にある。
今日の話の中には「クラスに行きづらい子」の話はなかった。
今、子どもたちのリアルは、半径5メートルの民主主義ではなく、半径5メートルの安全保障。
学校カースト、SNS、コミュ障、などの中での不安がベースにある。教室はフラットではない。
自分がハブられない細いルートを正しく辿れるのか?それがリアル。
そのリアルな場面から入っていかないと、生活の言葉にならない。
お手本ばかり見せられてもたどり着けない。立派じゃない主権者になれるのかが大事。
65点の合意形成をどうできるのか。65点の主権者になれるのか。
我々に出された宿題は4つ。
1.なぜこんなにも自己評価が低い子どもが育ってしまうのか?
2.「責任取れない」という呪いのブレーキはなんなのか?
3.ルールメイキングの成功と共に、ルールメイキングの失敗を学ぶ必要があるのではないか?
4.失敗した合意形成に対して、踏ん張って当事者性を持ち続けられるか?
「主権者という言葉を使わずに、主権者を表現するとどうなるのか?」
それを考え続けていきましょう。
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イベントを終えて数日が経ち、今でもまだ頭の中をグルグルと考えています。
自分が主権者であると思う事と同じくらい、目の前にいる相手を主権者だと思い向き合う事。
それは、相手が赤ちゃんだったり、友人だったり、どんな年齢や関係性であっても変わらなくて、すべてはそこからしか始まらないのかなと思ったりもしています。
そして、今回の連続企画では、シェアランが活動を3年半積み重ねてきていることの意義も改めて実感させていただきました。
企画段階から告知、そして当日の会場の準備から片付け、懇談会の準備に盛り上げ、最後の写真撮影、その後の2次会、3次会、、、と、
本当に皆さんがこの場を楽しみながら一緒につくってくださっているのを実感しています。
モヤモヤをこじらせ続ける私たちですが、今後も皆さまと一緒に楽しくシェアランをつくっていきたいと思います!
(諏訪)
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次回イベント予定はこちら!
8月6日(土)14:00~17:00 @国分寺リオンホール
工藤勇一×SharingLearning
リアル対話会決定!
それに向けて、「子どもたちに民主主義を教えよう」の読書会等を開いていく予定です。
実は、工藤さんが校長を務めていた2019年の麹町中の校内研修会に、
シェアランの共同代表の2人が1年間通っていました。
工藤チルドレンである私たちのモヤモヤはどうなるのか?!
ぜひ今から予定をあけておいてください♪
また皆さまといっしょに楽しい時間を過ごせることを楽しみにしています!